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春風匂ふ

( 昭和13年 旧制大阪商科大学予科逍遥歌 )

今井茂雄 作詞
鈴木和夫 作曲


| PNG 楽譜 | 極貧 MIDI |

<壱>
春風匂ふ浅香山 (あさかやま)
花咲き花のうつろひし
栄枯の姿 君知るや
夏草しげき校庭に
流るゝ雲を仰ぐとき
宇宙の大に涙せん

<弐>
秋 逍遥の月影に
真理を求め人生の
思索に若き胸躍る
(ゆ) きて還らぬ青春の
夢こそ思へ 冬の宵
希望は永久 (とわ) に高鳴らん

<参>
ああ三年 (さんねん) の春秋を
起てよ学べよ 若き身に
高き理想のペンを執れ
燃ゆる四百の男 (お) の子等が
二條の線 (すじ) に血は湧きて
香陵 (こうりょう) 健児 意気高し

<四>
歴史はめぐる三千年
今 東海の峯の雲
血潮の色に燃え出でぬ
陽は東より 光栄の
祖国の誇り 荷ひ立つ
熱血の意気 君見ずや

<五>
理想の旌旗 (せいき)  かざしつつ
一度 (ひとたび) 起ちて行く処
人生 (じんせ) の覇業 何かある
ああ感激の子よ 友よ
聴け 伝統の学び舎に
希望の朝の鐘が鳴る


出典: 『日本寮歌集』(日本寮歌振興会 編、1992年版)などを参考にしています。
なお、漢字表記・振り仮名は現代のものに改めてあります。



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[ 注 記 ]

<著作権について>

作詞者 今井茂雄氏は当時の旧制商大予科の一年生。
作曲者 鈴木和夫氏は同じく旧制商大予科の三年生。 鈴木氏は、商大グリークラブに所属していたようです。
お二人とも、現在もご存命かもしれません。

ですから、著作権はまだ存続していると考えられます。ただし、JASRACの管理楽曲ではありません。 抗議・ご意見はこちらへ

なお、この歌は新制大阪市立大学でも寮歌祭出場メンバーの間でもあまり歌われることがありません。


<歌詞について>

この歌は、昭和13年 [1938年] に予科で公募された逍遥歌の入選作3曲のうちの一つです。
典型的な寮歌調の曲で歌いやすいため、戦前はよく歌われたようです。

新制大阪市立大学では、「三年(さんねん)」を「四年(よんねん)」と歌い替えています。

"浅香山(あさかやま)" - 同校の大和川をはさんだ対岸にある山(大阪府堺市)。 かつて江戸時代には、堺の町の行楽地として桜が有名だったようです。現在はツツジが有名。

"二條の線(にじょうのすじ)" - 当時の学生帽につけられていた白線二本。旧制高校生の誇りの象徴でした。

"香陵(こうりょう)" - 浅香山の美称。転じて、旧制大阪商大の美称となりました。

"歴史はめぐる三千年" - この歌が作られた昭和13年 [1938年] は、神武天皇の即位から数えて(皇紀)2598年。

"旌旗(せいき)" - 旗。

"伝統の学び舎" - この時点で、すでに 58年の歴史を有していました。
この学校が後にどんな転落の途をたどるのか、まだだれも知る由も無かった......。


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Entaro NAGATANI, 1998-2006.
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