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金剛を望みて

( 昭和13年 旧制大阪商科大学予科逍遥歌 )

吉田康博 作詞
北川養助 作曲


| PNG 楽譜 | 極貧 MIDI |

<壱>
(あした) に望む金剛や
夕べに語る丘蔭に
若き生命 (いのち) の男 (お) の子等が
涙し夢見る思ひ出は
ああバビロンの落星か
真理の彼方 君見ずや
真理の彼方 君見ずや

<弐>
其の熱涙に咽びつも
湧然 血潮は高鳴りぬ
星影 (せいえい) 淡く 月映ゆる
銀盞 (ぎんさん) 満ちて永遠 (とことわ)
自由の雄叫 (おたけ) び 高らかに
契会 (けいかい) の友 行かんかな
契会の友 行かんかな

<参>
さあれ血潮はたぎるとも
三年 (みとせ) の契り短くも
過ぎ行く青春 (はる) を如何 (いか) にせん
友皆来れ 摂南の
商大 我等若人よ
大和の流れいや清し
大和の流れいや清し

<四>
思ひは遥か幾星霜 (いくせいそう)
今日 荊棘 (けいきょく) の道に泣き
明日 感激の美酒 (びしゅ) に酔ひ
痴人の夢と戦ひつ
白亜の塔に三年 (さんねん)
名残りを留めし人如何に
名残りを留めし人如何に

<五>
今 暁雲 (ぎょううん) は たなびきて
金剛の嶺 (ね) に光さす
されど行旅 (こうりょ) に試練あり
軽浮 (けいふ) の嵐 荒るるとも
希望が丘に声高し
叡智の紅花 (こうか) 咲けとかや
叡智の紅花咲けとかや


出典: 『日本寮歌集』(日本寮歌振興会 編、1992年版)などを参考にしています。
なお、漢字表記・振り仮名は現代のものに改めてあります。



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[ 注 記 ]

<著作権について>

作詞者 吉田康博氏は昭和11年 [1936年] 商大予科入学、昭和16年 [1941年] 商大卒業。第二次大戦で戦死しています。

作曲者 北川養助氏は吉田氏の予科同級生で、商大のマンドリン部("プレクトラム・ソサエティー")に所属。 現在もご存命かもしれません。

ですから、詞の方の著作権は消滅していますが、曲の方の著作権はまだ存続していると考えられます。ただし、JASRACの管理楽曲ではありません。 抗議・ご意見はこちらへ

なお、この歌は新制大阪市立大学でも寮歌祭出場メンバーの間でも完全に忘れ去られています。残念なことです。


<歌詞について>

新制大阪市立大学では、「商大」を「市大(しだい)」、「三年」を「四年」と歌い替えています。

"金剛(こんごう)" - 金剛山。同校から見えるもっとも高い山。ただし、いまはスモッグで見えないことが多いです。

"バビロンの落星(らくせい)" - 旧約聖書イザヤ書14章12節を参照。なお、一般に誤解されているような悪魔のことではありません。この歌での意味は不詳。

"荊棘(けいきょく)" - いばら。

"白亜の塔" - 旧制大阪商大の時計台。学園の象徴。なお、昭和63年 [1988年] の改修で薄茶色に塗られてしまいました。

<歌い方について>

静かに一人ないしせいぜい3人くらいまでで歌ってください。極貧MIDI では和音を付けましたが、本来は無伴奏で歌うようです。

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Entaro NAGATANI, 1998-2006.
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