(前略 − 引用者)
こんにちは。何日かぶりで貴君のページを拝見したら、 「空ゆかば」の件が載っていましたので、さっそく送ります。
といっても、私も阿川作品は「軍艦長門の生涯」を斜め読みした程度です。 (昭和47年までサンケイ新聞に司馬遼太郎さんのベストセラー「坂の上の雲」が 連載されて人気でしたが、その後釜という難しい役目を担ったのがこの「長門」です。 平賀造船中将のエピソードが面白く、開戦までは新聞をよく読んでいたことを思い出します。)
ネタ本は、私がその昔神田の秦川堂書店で買った「四高八十年」という四高同窓会の出した記念誌です。 装丁は粗末ですが、中身が面白そうなので買っておきました。この451頁以下に 「映画シナリオ空ゆかば」が載っていました。いまでは、入手も困難だと思われますので、 以下解説を箇条書きします。
1.「空ゆかば」は、昭和31年の松竹大船作品
2.脚本は四高昭和25年卒の高橋治氏
3.阿川作品は書簡集のかたちであり、ドラマ自体は高橋治の創作
4.当時、高橋氏は四高を出てまだ5年目、東大国文卒の文科系人間であるから、 世が世であれば学徒出陣の当事者であったのは間違いない。
5.主人公を四高から京大に設定、金沢ロケを行っている。
6.高橋氏は、千葉県から四高文乙、在学中は野球部のマネージャーと四高自治会副委員長、映画研究会にも在籍していたとのこと。
7.シナリオを読み下してみたところ、どうも映画のなかで「南下軍の歌」をはじめとする四高寮歌が使われているという趣旨らしく、 そういう名前の寮歌ではなさそうである。
8.ちなみに、エンディングは主人公をはじめとする特攻機が次々と白雲のなかに消えてゆき、 最後はハミングで「海ゆかば」ということらしいので、そのへんからつけられた名前ではなかろうか。
平日なんであんまりこまかく読み込むことはできませんでしたが、以上のようです。
Fさん、貴重な情報をありがとうございました。
やはり映画独自の 設定があったようです。
文中に登場する 「南下軍の歌(ただに血を盛る)」 は、遊閑斎さんのページで 聴くことができます。
「海ゆかば」 は大伴家持の詞による軍歌です。信時潔氏作曲のものが有名ですが、著作権上の問題があるので、WWW上では聴けません。
どちらの曲も、講談社文庫 『日本の唱歌(下)』に載っています。「参考文献」を参照してください。
なお、福田さんからの情報をSさんにお伝えしたところ、ご返事をいただきました。ぜひご覧ください。