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88番: 神の僕 (しもべ) の祈り (The Prayer of God's Servant)

野次馬する頁表紙2. 1984年版歌集各曲解説2-1-B. 歌詞のみ 1928年版より古い歌88番の歌


< 概要 >

< 解説 >

題名の通り、神への祈りの歌です。
第1節の歌詞は、英詞では 「天の父、主権者なる主よ」 (Heavenly Father, Sovereign Lord) との語りかけで始まり、御名が崇められるよう祈り、尽きることのない神の憐れみを賛美しています。

今の歌詞に直接つながる歌詞が最初に掲載されたのは、1944年版歌集です。しかし、第1節の歌詞に限れば、もっと古い二つの歌に由来しているようです。

第1節の歌詞の前半は、1905年版歌集 83番の歌の第1節の歌詞に酷似しており、これが原詩と考えられます。「The Cyber Hymnal」 (直リンク) によれば、原詩は Benjamin Williams の作です (彼は某教団信者ではないと思われます)。

また、第1節後半の 「憐れみは とわにぞ絶えじ」 の部分は、John Milton (1608年-1674年) が 1623年に書いた賛美歌 『Let us With a Gladsome Mind』 (同じく直リンク) のリフレイン 「For His mercies aye endure, / Ever faithful, ever sure.」 が元になっているようです。
(旧約聖書 詩編 第136編が下敷きですが、文言は当時の欽定訳聖書 [KJV] とは異なります。John Milton は 『失楽園』 で有名な人で、もちろん某教団信者ではありません。15歳のときの作詞ですか......)。

1928年版歌集では、Benjamin Williams による詞は 95番の歌として、John Milton による詞は 150番の歌として掲載されています。
曲は、95番の方は 「NUREMBURG」 (「The Cyber Hymnal」にのれば、Johann R. Ahle作曲。某教団信者ではない)、150番の方は 「MONKLAND」 (「The Cyber Hymnal」 によれば、John Antes作曲) が用いられていました。

Wikia.com 上の 「Watchtower Classic Library」によれば、1928年歌集 150番の歌は、機関誌 『灯台』 の 1930年9月号 15ページに 『エホバに感謝せよ』 との題名で掲載されています (日本語の歌詞)。「For His mercies aye endure, / Ever faithful, ever sure.」 の部分は、「そのあわれみは とわにぞたえじ」 と訳されています。

1944年版歌集で、第1節の歌詞は ほぼ 1984年版と同じ歌詞に改められ (二つの歌が合体した形)、第2節〜第4節には 2009年まで歌われた歌詞が付けられました。1950年版で擬古調英語から現代語に改められています。1944年版・1950年版ともに、曲は 「Pleyel's Hymn」 (Ignaz J. Pleyel作曲。某教団信者ではない) が用いられていましたが、1966年版歌集 (42番) で信者の作曲による現在の曲に変更されました。

なお、2009年版の新歌集には、6番の歌として引き継がれました。従来の第4節が削除され、3節までになりました。メロディーは末尾近くの一音 (伸ばして歌う中間音) が削除された程度でほぼ同じですが、歌詞は英語版・日本語版ともに変更され、特に英語版では音節が増えて、伸ばして歌う箇所が減っています。

結論: 元々は一般キリスト教賛美歌の替え歌からできた歌と思われます。某教団にしては、素直で穏やかで清らかな歌です。

< 資料 >

1905年版 83番、1928年版 95番 「We Adore Thee (仮訳:我ら御身を崇む)」

[PNG] [歌詞 (原詩)] [曲MIDI (NUREMBURG)]

1928年版 150番 「Let Us Praise the Lord (仮訳:いざ主を賛美せん)」

[PNG] [歌詞 (原詩)] [曲MIDI (MONKLAND)]
[歌詞 (エホバに感謝せよ)] (Wikia: Watchtower Classic Library に直リンク)

1944年版 27番 「The Servant's Prayer (仮訳:僕の祈り)」

[PNG] [歌詞(ほぼ現行;古語)] [曲MIDI (Pleyel's Hymn)]  * 1948年改訂版

1950年版 22番 「The Servant's Prayer (仮訳:僕の祈り)」

[PNG] [歌詞(ほぼ現行)] [曲MIDI (Pleyel's Hymn)]

1966年版 42番 「The Prayer of God's Servant (神の僕の祈り)」

[PNG] [歌詞(現行)] [曲MIDI (現在の曲)]
※ 日本語版(1968年発行)は著作権が 2038年末まで残っているので掲載しません。

1984年版 88番 「The Prayer of God's Servant (神の僕の祈り)」

英詞:Watchtower Online Library(直リンク)
邦訳:Watchtower Online Library(直リンク)

2009年版 6番 「The Prayer of God's Servant (神の僕の祈り)」

歌詞は若干変更。曲も若干変更。

英詞:Watchtower Online Library(直リンク)
邦訳:Watchtower Online Library(直リンク)

2016年版 42番 「The Prayer of God's Servant (私たちの祈願)」

歌詞は別内容。曲は若干変更。

英詞:Watchtower Online Library(直リンク)
邦訳:Watchtower Online Library(直リンク)


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